巨樹

ルノアールが愛したオリーブの樹

Cimg0484_olieve09 私の毎日は樹木たちが語りかけてくれる言葉に支えられています。導かれるように出会った樹木、何かあるといつも会いに行く樹木。出会った木々の記憶を少しずつ……。 

今日はオリーブのお話をしましょう。

一昨年の冬、画家のルノアールが心の支えにした、樹齢五百年のオリーブに会いに行きました。

南仏ニースから電車で約15分のカーニュ・シュル・メールという小さな街。最後の約十年を過ごした家がそのまま美術館になっていて、樹木はその広い庭の中に立っています。

歳をとって絵筆が持てなくなったルノアールが住むことに決めた、終の棲家。丘の上に立つ一本のオリーブの樹をひと目で気に入って、ここに移り住んだと伝えられています。

この家で、彼はリウマチで痛む手に絵筆を紐でぐるぐる巻きにしばりつけて、絵を描き続けました。毎日、毎日、毎日・・・・・・。

門をくぐるとミモザが咲き乱れ、美術館までの小道はまるで黄色いトンネルのようで、どこか別世界へと誘われるかのようでした。

それぞれの部屋はテーマごとに絵がかけられています。日本人におなじみのふくよかな女性の裸婦像の部屋もありました。アトリエには描きかけの絵がそのまま残されていました。

ルノアールの呼吸を感じるなか二階に上がると、オリーブの絵だけが飾られた小さな部屋があります。

Cimg0472_window09 窓から庭を覗くと、ちょうど絵と同じ風景が広がっているのです。オリーブが立つ場所も、風が吹きぬける通り道も、空の広がりも・・・・・・。

ルノアールはこの部屋で繰り返しオリーブを書いたのでしょう。デッサンもあれば水彩画もあり、細密な鉛筆画、油絵もありました。

古来、オリーブは再生の樹。絵を描き続けたいルノアールの願いにこたえ、心を支え、勇気を与え続けてくれたのです。

オリーブは今もなお、南仏カーニュ・シュル・メールの丘の上に立っています。

★ルノアール美術館

行き方・・・ニースから電車で約15分、カーニュ・シュル・メール駅から徒歩30分。日本の多くのガイドブックには徒歩510分と書いてありますが嘘です。タクシーを見つけましょう。Cimg050109

| | コメント (66) | トラックバック (0)

冬、樹木は葉っぱのたまごを育てている

新年の頃の宇宙は、「たまご」を抱えている木たちがいっぱい。

一本の木を見かけたら、枝の先っちょを見てみてください。小さな芽がふくらんで、葉っぱのたまごをあたためています。春になれば、たまごが割れて、淡い緑色の芽の赤ちゃんが顔を出すのです。

写真は広島県大朝町にある樹齢約130年、真冬の天狗シデ。

昨年、書いたメッセージを載せましたので読んでください。

071320091

葉っぱの卵

冷たい冬

樹木はじっと耐えているように見えるけれど

じつは違います。

葉っぱを落として、枝だけのシンプルな姿になって

新しい命を育てているのです。

枝の奥のほうに小さな小さな

人間の目には見えない葉っぱの卵を。

早くに春を迎える樹木は雪の降るなか

新芽の赤ちゃんを枝の先に抱いているものもいます。

幸せな気持ちで出産の準備をしている木々たち。

ぶるぶる震えながら、冬の寒さを我慢していると思うのは

人間の勝手な思い違いです。

大好きなことをしているとき、誰もつらくはありません。

嬉しい気持ちでいっぱいです。

あなたが今、いちばん幸せに思うことは何ですか?

時間が過ぎるのも忘れて、打ちこんでしまう夢の卵。

誰に見られなくても、誰に気づかれなくても

あなたが嬉しいこころで重ねたことは

きっと、きらきらと輝く新芽となって

人生という春にいっせいに芽吹いていくことでしょう。

天狗シデの群生(カバノキ科・イヌシデ)

樹齢約130年、樹高12m・幹周り3m、県指定天然記念物

所在地/広島県山県郡大朝町 行き方/高速バス・大朝インター下車、徒歩20

| | コメント (0) | トラックバック (0)

法隆寺のクスノキは両性具有

Rimg0065_081111

法隆寺、夢殿に向かう途中で出会ったクスノキです。

一本の木とは思えないくらい、樹皮の感触が様々。

ゴツゴツしてたり、波打つようだったり、ダイヤ形の模様を作り出していたり・・・。

何本かが一緒に成長したのかと思って、あちこち観察しましたが、

やっぱり一本のクスノキが喜怒哀楽の表情を見せているのです。

このクスノキは男かしら?それとも女?

生命エネルギーの妙を形からも感じてしまう

妖しい、魔の力を秘めたようなクスノキの巨木でした。

Rimg0083_08111166 Rimg0077_08111166

| | コメント (0) | トラックバック (0)

木のゆりかご

大きな木と出会った時、「この木とは心が通じ合うな」と感じると、

私は両手を広げて、木を抱き締めます。

幹に背骨をぎゅうっとくっつけて寄りかかったりもします。

すると、まるで木の上で寝ているみたいな、木のゆりかごに乗っているような気持ち……。

Dh000050_081111_2

写真はそうやって下から見上げたところ。

フィンランドの森で出会ったモミの木です。

幹から枝がぐぐーーんといくつも出ていて、

葉っぱは日本のモミよりずうっと長く垂れ下がっていて、

緑色のレースのカーテンみたい。

木洩れ陽がキラキラ透けて、とてもきれいでした。

出会った瞬間、胸が熱くなりました。

幹に寄りかかると涙がぽろぽろ。

心にたまっていたいろいろが全部流れていくみたい。

何故かしら? 

そのモミの木は何百年も昔、その森で生まれ、

人々が天啓を得るために訪れた神聖な木だと聞きました。

モミは両手をいっぱいに広げて、私を抱き締めてくれました。

迷いも不安もその広い胸で全部受けとめてくれるみたいに。

あなたも心惹かれる木と出会ったら、木の幹に体を預けてみてください。

誰にも打ち明けたことのない、あなたの秘密をスッと受けとめてくれるかもしれません。Dh000046_081111

| | コメント (0) | トラックバック (0)

その他のカテゴリー

Books | Message | News | Profile | Works | キャンドル | ケルト | 妖精 | 巨樹 | 心と体 | | 木精 | 植物 | 芸術 | 薬草